選ぶのには理由がある
面談の中で、働くうえで「大切にしていること」や「大切にしている考え」についてきくことがある。すると「特にないです」と返ってくることもしばしば。
大切にしていること? 特にないです。(20代・男性)
Q:じゃぁ、今履いている靴はどうしてそれを選んだの?
ーーー 靴ですか?(何言ってんだこいつ、という顔)
そして様々な理由が出てくる。安かったから、好きなブランドだから、履きやすかったから、デザインが好みだったから・・・
靴を買う時に「大切にしていること」はスルッと出てくるのに、「働く」となると出にくい。それは毎日当たり前に仕事をこなしていて、毎回、こんなことを考えないから。当たり前になると、いちいち考えなくても出来てしまう。
でも靴を買う時には、靴を買うという目的をもってどんな靴を買いたいか考えて行動する。だからこそほしい靴を手に入れることができる。
彼は、安かったから買いました、と答えた。
安い靴を買うとどうなるの?
ーーー 好きな服を買うことにお金が回せます
あなたの中には 洋服>靴 のお金の使い方があるんだね。好きな服を買うことにお金が回せる、というのはあなたにとってどういうもの?
ーーー 好きな服を着ることができます
好きな服を着たいんだ、なんで?
ーーー なんでって、みんなそうじゃないですか?
みんな好きな服を着たいと思っている?
ーーー 多分。
じゃぁ、○○さんにとって好きな服を着ることはどんなこと?
ーーー 自分を知ってもらえる手段かな?
他の人もそう?
ーーー ん、そうじゃない人もいるかも。
例えば?
ーーー 彼氏・彼女の好きな服とか?
そういう人はどういう気持ちで着るんだろう?
ーーー 相手に喜んでほしい、とか? あー、そういう人もいそういそう。
じゃあ、○○さんの「自分を知ってもらえる」とはどういう気持ちで?
ーーー オシャレな人とか、認知されたい。いい印象を与えたい。
だれに?
ーーー 好きな人。
好きな人がいて、その人にオシャレな人と認知されたくて、好きな服を着ているんだね。ということは、洋服選びに自信があると見た!
ーーー 結構そのへんは勉強してます、ネットとか、雑誌とか。インスタもやっててフォロワーも10,000人超えたんです!
へぇ、勉強家なんだね。
ーーー どういう投稿がバズるとか、時間とかも何回も試してみて、上手くいけば、少しアレンジしてさらに検証して… でも、自分の好きな感じは大事にしています。
自分の好きな感じ?
ーーー すっきりしたデザインが好きなんです。ネットとか調べていくと、こっちのほうがウケるとか、書いているんです。でも、そういう情報を安易に選んで、ぶれたくないというか…
○○さんは、お金の使い方や好みがはっきりしていて、そのことを言葉にできるんだね。何かを選ぶ前には立ち止まって考えることができるし、数字を追うのも好き。これって強みだよ! 仕事ではどう?
ーーー え、これ強みなんですか? 強みってもっとこう、成果に直結しているものかと… おっしゃるように、確かに仕事でも数字を追うのは好きです、わかりやすいし。これをすれば、こうなるって考えるのも楽しいし。
ほかには?
ーーー 意見は言います。言わずに後悔したことがあって、それからは、言って後悔したほうがましだと思っていて。
ほかには?
ーーー この人のためにと思うと、やる気がでるかも…
というと?
ーーー すごくお世話になっている先輩がいて、この前その先輩のプロジェクトに入れてもらった時、先輩のために絶対成功させようという気持ちがわきました。あ、親にも思ってます。
じゃぁ、どんな会社だったらそういう自分でいれそう?
それは何を大事にしているから?
(面談の一部を省略して掲載しています)
頭の中に、心の中に答えたいものはあるのに言葉にできない。そんな方の言葉を引き出すお手伝いをします。言葉が出てきたら必要に応じて文章になるようにさらにきく。すると応募書類(履歴書・職務経歴書・ESなど)がスルっと自分でかけるようになるんです。
私は、その言葉がでるきっかけの扉を開けるだけ。
人によって、扉の重さや大きさ、厚さが異なるのでどのくらい開けるかは、人それぞれです。