例えばタンポポ。今、頭に花のイメージが浮かんでいるだろうか?
「蒲公英」と書いてあってすぐにそれと理解できる人は少ない。「タンポポ」とかいてあれば、花とわかる人も多いだろう。
でも、そもそも「タンポポ」という言葉が花の名前と知らなければ、「あの花!」と理解ができないのだ。
では「春先の道端に咲く、白や黄色の小さな花ではギザギザ、咲き終わると綿毛の付いた種が風にのり舞い上がる」こんな風に具体的な様子を伝えられると、名前を知らなくても、頭の中には(こんな感じかなぁ…)と花の様子が浮かぶのではないか。
ーーー 相手に伝わる伝え方とは
人に伝えるとき、なるべくは簡単な言葉を使いたいと思っている。「小学生が聞いてもわかるように話す。(とはいえは専門用語や一般的ではない言葉をあえて使わないという程度だけど)」というのが私の目標で、意識はしていても気づけば専門用語を使って、相談者から「ん?」という顔をされることもある。
書類添削をしていると、専門用語がふんだんに使われた「履歴書・職務経歴書」に出くわすこともある。それでいて同業・同職種ではなく、異業・異職種へ転職したいという。この手の書類は通りにくい。内容が伝わりにくい。
ーーー ニッチな言葉を使うと与える印象
身体に染みついた言葉で、自然と出てしまったという人ではなく、スキルのアピールなのか、あえて難しい言葉や専門用語を使う人がいる。
同業種ならいい。読み手もその言葉を知っている確率が高いから。それでも、技術職などの場合には、応募先の採用担当者が知っているとは限らない。
さらに異業種ならば、読んでも理解が進まないだろう。同業出身の方が採用担当で…なんて偶然に期待するのはやめたほうがいい。言葉を調べながら応募書類を読み進める寛大な採用担当は、かなり貴重な存在だと思う。(よほど魅力的な資格や、パッと目を引く経験でもあれば別だが)
ーーー 等身大の言葉でOK、伝えたいことを素直に伝える
私は、素直に書くのが一番だと思う。文章の得意下手はあれど、本人の熱を感じる文章ほど胸を打つものはない。
加えて、具体的であれ。読んだときに頭の中にその様子が浮かぶ文章には説得力があり、読み手は再現性を感じる。
だが細かすぎてはだめだ。具体的とは、作業を1から100まで書くということではなく、あなたの働くさまを書くということなのだ。どんな気持ちで、どんな思いがあって、どんな行動をしたのか、結果どんなことが起きたのか、起きたことが与えた影響は、あなたの気付きは。聞きたいのは作業手順ではない。
そして、最初に結論を書こう。安心して読める。
「で?」となる文章を読むのはつらい。ほんとうに、つらい。
ーーー 結論、相手を想像できるかどうか。
誰が応募書類を読むのか、応募した人にはわからない。20代か50代か。読むときの状況は? 読む人の機嫌は?
ご機嫌ナナメな時に、ややこしい言葉だらけの書類が届いたらどうだろう。小さな文字がびっしりと敷き詰められた書類は? 10ページにわたる力作は? 睨みつけるような証明写真は? 採用担当も人。平常時と全く割らないとは言い切れない。
書類を提出すれば、誰かに読んでもらうことが待っている。誰かに読んでもらったならば、選ばれることが待っている。そして次のステップに進むかどうかが決まる。
どんな人に会いたいか、企業によって異なるだろうが、
そもそも「伝えたいことが、伝わっていなければ」土俵にも上がれない。


